八ヶ岳(赤岳) ②

 

2014年3月16日  天気:晴れ

本日は赤岳鉱泉を出発して地蔵尾根を経由し赤岳に向かうルートを取ります。前日の天気予報では風速27m/sと不気味な危険信号が灯されているので、いつも以上に用心をして進みたいと思います。去年登った際は綺麗に富士山が拝めましたが今回はどうでしょうね?風の力で雲がどいてくれれば嬉しいものですが、まぁ行ってみないと分かりませんね。ではでは、これから八ヶ岳主峰の赤岳に再び挑戦と参りましょうか。

 6時30分 大混雑の玄関

朝食も、昨日の夕食同様に2回転となっています。私は1回転目の朝食で食べ終え、2回転目の朝食の準備が着々と行われている慌ただしい食堂の横を通り過ぎ、ザックを背負って赤岳登頂に向けて出発します。とは言うまでは良いものの、玄関では2回転目の朝食待ちの列と、外に出る登山者の列が混じって大混雑になっています(-_-) ちょうど列がぶつかる場所みたいなんですよね。これは困った・・・

 6時50分 まずは行者小屋を目指しましょう

赤岳鉱泉に設置されてある温度計がマイナス2度を指しています。あれ?意外に温かい天気だな。アイゼンを装着し出発となりますが、稜線上の凄まじい風にも耐えなくちゃいけないこともありますので、事前にインナーとアウターの計4着を着込んで完全防備の態勢で乗り込みます。ピッケルもここで装備します。

 7時20分 雪に埋もれた行者小屋

赤岳鉱泉から行者小屋までは30分程。半年ぶりの行者小屋に到着となりましたが・・・今回は見事なまでに雪に埋もれていますね。積雪量が半端ねぇ。周辺ではテント泊をしている方が赤岳登頂に向けて準備を着々と進めており、それに併せて味噌汁やコーヒーの香りが辺り一面広がっています。やべ~腹減ってきた。

 8時00分 地蔵尾根も雪に埋もれてます

行者小屋から赤岳までの間、選択できるルートは2つあり、1つ目は地蔵尾根で少々急坂が目立つルート、2つ目は文三郎尾根で鉄メッシュの階段が多い印象を受けるルート。急坂のコースを下山に合わせると何かと危険が付き物なので、今回は地蔵尾根を登って文三郎尾根を下山ルートに決めて出発します。

 気付くと暴風エリアに突入していた!

強風に煽られて雪の結晶たちが空に舞っています!かなりの強風です!!

もうすぐ地蔵ノ頭に到着となりますが、台風並みの風が襲ってくる凄まじい世界に"今まさにこれから"突入しようとしています。ピッケルを地面に刺して耐風姿勢を取らないと体がもっていかれそうな気がします。こんな所で足を滑らせたら冷や汗どころの騒ぎじゃない!急な坂道(斜度50度) も出てきましたよ。

 8時25分 地蔵ノ頭に到着

強風?暴風?地蔵ノ頭に到着し稜線上に立ったワケですが、想像していた以上に風が強い!気温はマイナス11度まで下がり、そこに風速27m/sの影響が合わさっていて、これは体感温度はマイナス15度まで落ち込んでいることでしょう。赤岳鉱泉前でフル装備をして正解でした。こんな風の強い中でウェアを着込むのは厳しいし、ウェアが飛ばされる可能性もあるし。事前の準備が幸いしました。

 8時30分 冬季の営業が終了した赤岳天望荘

赤岳天望荘は2月23日で冬季営業を終えています。4月26日に開業です。皆様注意して下さい。

くぅ~風が強い!写真中央左にある建造物が分かりますでしょうか?見にくいですが、あれが赤岳頂上小屋であり赤岳頂上付近です。そこに続く一本のトレース(雪道) が頂上まで続いており、これからその道を辿って赤岳登頂を目指します。風をモロに受ける立地状況ですなぁ・・・夏だとクサリやロープが登山者を手助けしてくれますが、今の季節はご覧の通り雪で全てが埋もれています。

 ラストの稜線を登っていきます

アイゼンをしっかりと利かせ、ピッケルも確実に地面に刺し、耐風姿勢を取りながら一歩一歩と前に進みます。雪の結晶なのか氷の結晶なのか分かりませんが、風に舞う欠片が顔に当たると物体の寒さと気温の寒さのダブルコンボで痛みを覚えるので、顔も完全に守って進まないと苦しいです。また長時間休憩すると指が痛み出しますので休憩時間の配分にも注意をして下さい。

 耐風姿勢を保ちつつ歩き続ける


雲が山に当たってスゴイ動きをしています。写真で写すことは出来ませんでしたが、その動き、その速さは誰もが驚くんじゃないかと思うほどです。周囲を見渡せば耐風姿勢を取る方も多く、ピッケルがここに来て大きな力を発揮してくれています。よろける場合は地面に刺し、急坂の場合は坂に向かって刺し込み、いや~これほど威力を発揮するとは・・・アイゼンとピッケルの組み合わせは八ヶ岳には必須の道具かもですね。

 9時30分 赤岳山頂に到着しました!

山頂に到着です!大げさな格好かもしれませんが、何一つ装備を外すことが出来ません。


アイゼンにピッケル、ロープにハーネスにヘルメットと他の登山者もフル装備で頂上に到着。完全防備の登山者たちです!山頂にいる方と、「風が本当に強いですね!」「えぇ、まさかこんなに強いなんて思いませんでしたよ!」なんて会話をしましたが、今まさに強風が吹き荒れている状況です。山頂に着いた~!ってメールを親しい方に出そうとしましたが、あまりの寒さにそんな気が起こりせんでした。

 山頂の景色は少々霞んでいるかな?

この方向に富士山が見えるんですが・・・今日は全く見えませんね。う~ん・・・残念。

南側を向いています。権現岳や編笠山が目の前にそびえ、さらに奥でうっすら見える山が南アルプスの鳳凰三山です・・・たぶんね。あちらも相当な雪をかぶっていることでしょうな。まだ登っていないんで今年登りに行く予定です。テント泊でね(笑) 写真撮影をする際に足元が疎かになるので怖い怖い。

 10時00分 慎重に下山開始


これから文三郎尾根へ下山開始となりますが、とにかく風がヒドイのでバランスを崩されないよう慎重に下りていく必要があります。転倒は絶対に許されません。本来ここはガレ場でクサリとロープの道があったんですが、地蔵尾根と同じように今回は雪に全部埋もれてしまって全く確認できず。でも返って歩きやすいコースになっています。トラバース気味のコースはピッケルを地面に刺して態勢を保持します。

 文三郎尾根を振り返ってみる

文三郎尾根にてこれから赤岳山頂に向かうグループとすれ違い。太陽の光がデカい!

文三郎尾根を振り返って一枚記念写真。歩くとそうでもないんですが、意外にも危険な道を歩いてきたんだな~って感じがしますね。風で粉雪が舞い、それが視界をボヤけさせ、そしてトレースがどこに伸びているのかよく分からない状況になっています。風も強いことですし早めに樹林帯の中に逃げましょう。

 10時40分 文三郎尾根を抜けて行者小屋に到着

樹林帯の中に入ると風の勢いは落ち始め、そして行者小屋に戻る頃には無風状態になっていました。ここにきてようやくゴーグルとバラクラバ(目出し帽) を取り外せます。休憩を取りながら先ほど登ってきた八ヶ岳の主峰赤岳を見て「あ~大変だったな」と思わず独り言をボソリ。周囲では軽食を食べていたり、コーヒーを飲んでいたり、テントの中で熟睡中の方がいたりと思い思いのライフスタイルを送っています。

 11時30分 南沢を歩いて美濃戸口へ

赤岳鉱泉に向かう必要はないので、行者小屋から南沢を経由して美濃戸口に向かいます。こちらの道も完全なまでのトレースが出来上がっているので非常に歩きやすい。

 記念写真を撮ってもらいました

大阪から来た方3人パーティーの方に出会い写真を一枚撮ってもらいました。これから赤岳に向かうようで色々と質問を受けましたよ。「風がとにかく強いので完全防備で進んでください。コース上は特に問題個所はなく慎重に進めばロープがなくても平気です」ってコトを伝えると、「ほら、これ行けるんじゃない?」とパーティー内で士気向上トーク!とても不安だったそうです。互いにお礼を言ってお別れとなりました。

 12時10分 美濃戸山荘に到着

美濃戸山荘に到着となり、あとはこれ以降車道のコースみたいなもんなんで危険個所はゼロ。登山もほぼ終わったって感じですね。美濃戸山荘に"赤岳天望荘営業中"ってお知らせの看板がありましたが、これ取り外した方がいいんじゃないか?「期待して行ったら閉店してました」・・・って相当萎えるぞ。

 赤岳山荘の横を通ります

赤岳山荘、やまのこ荘の横を通り美濃戸口を目指します。昨日はツルツルだった氷の道もジャリジャリした氷の道に変わっており、正直アイゼンがなくても歩けそうな感じになっています。でも転んだら嫌なのでアイゼンは最後の最後まで装着しておきます。

 静かな下山を楽しんでます


登山者の数もまばらで静かな下山が出来ています。そうして美濃戸口に無事到着となり登山もここで本当に終了。あとはバスに乗って茅野駅に向かうだけです。驚いたことに歩程時間を調べてみたら半年前の秋に登った時と同じ時間に八ヶ岳山荘に到着していました。今回の方が時間がかかると思っていたんだけどな。ちょい時間が余っているので食堂に行って腹ごしらえをしましょうか。

 12時55分 八ヶ岳山荘で軽食を取ります

八ヶ岳山荘でポテトフライと生ビールを頼んで「無事に帰って来れたな~」って余韻に浸りながら食します。温かいポテトフライに冷たい生ビールが相極まって最高の美味さです。八ヶ岳山荘にも赤岳天望荘の冬季営業終了告知がされていましたが、やっぱり確実なのは事前確認の連絡を直接入れることですね。

 14時00分 JR茅野駅に戻ってきました

バスの乗車時間も前回と一緒でバスの乗客数も前回とほぼ一緒でした。茅野駅に到着し新宿方面の時刻を調べると、20分後に"特急あずさ"が来るって分かったんで急いでチケットを購入。これを逃すと次の特急電車は1時間後なんですよね。自由席券を購入していそいそとホームに向かいます・・・っとその前にビールも買っておこう(笑) 「ビールまた飲むんかい!」って言わないでね(´・ω・`)

 14時20分 特急電車あずさに乗って帰路に着きます

特急あずさに乗車し新宿駅に向かいます。ビールにチョコレートって微妙な組み合わせですが、甘い物を食べたかったんでこんなチョイスになってしまいました。本日は自由席の乗車率も高く、結構ゴミゴミしていたって印象を受けますね。ビールとチョコレートを食した後はのんびり外の景色を楽しみながら一眠り。ゆずの新曲「ヒカレ」を聞きながら夢の中へ・・・「ヒカレ 輝くためこの瞬間 ヒラケ 未来へ勇敢に行こう~♪」

風がメチャクチャ凄かったですが何とか無事に登頂&下山が出来ました。降雪量の影響もあってクサリにロープに階段は見事に埋もれていましたが、私はむしろ埋もれていた方が簡単じゃないかな?って印象を受けました。アイゼンは絶対ですが、ピッケルも携帯した方が登りやすくなりますね。風が強い場合はゴーグルにバラクラバは絶対です。氷?が顔にグサグサ刺さって本当に痛かったので(*´Д`)

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コメント: 2
  • #1

    中尾君 (土曜日, 22 3月 2014 07:10)

    日本じゃない様な景色の連続でしたね!
    ステーキ、ビール...うまそーー!

  • #2

    gogo-mountain (日曜日, 23 3月 2014 22:48)

    中尾さん(中尾君さん?) こんばんは。
    YukiHideです。

    白銀の景色は素晴らしく、
    夏には味わえない世界が広がります。
    日本の景色じゃないって思う時もありますよ~

    疲れた体にビールはとても美味しく、
    またステーキも最高でしたね(^o^)
    大満足の登山でした。