茶臼岳  2014年3月22日  天気:曇りのち晴れ

3連休となりましたが天候は悪化を辿る残念な状況に。でも何も行動しないと言うのはもったいないので7年前に登った茶臼岳に再度挑戦する計画を企てました(笑) 7年前と同様に晴れるといいな~。でも世の中期待通りに進まないんですよね。今回も3月16日の八ヶ岳登頂と同様に猛烈な風の中の登山となりました。厳しい自然が相手となりましたが、結果、色々と勉強になることが多い収穫のあった登山でもありました。

 6時40分 大宮駅より東北新幹線に乗車

新幹線がホームに入線。茶臼岳の最寄駅は「那須塩原駅」「黒磯駅」の2つに絞られ、どちらも東北線の駅で、距離も遠く各駅電車の利用では時間がかかってしょうがないので、ここは新幹線を利用して時間短縮を図ります。「6時46分発 やまびこ201号 仙台行」、東北新幹線に乗車し那須塩原駅を目指しますぜ!券購入の際に係りの方から「指定席はガラガラですよ」と聞かされ混雑がないことを知りホッと一安心。

 7時30分 那須塩原駅に到着

那須塩原駅に到着した後、今度は在来線(東北線) に乗り換えて1つ先の黒磯駅に向かいます。改札内に在来線乗り換え口が設けられているので非常に合流が楽です。在来線の接続時間もまぁまぁ悪くないのでスムーズに電車に乗れるんじゃないかと思います。手洗い場に行く時間も十分含まれていますしね。

 7時45分 目的の黒磯駅に到着!

黒磯駅に到着し、まずは真っ先にバス停留所に向かって時刻表チェック!このエリアを管轄している東野交通のHPで時刻表情報が全く手に入らなかったんで現場で確認をしにいきます。大丸温泉に行きたいから、え~なになに黒磯駅発の時間はと言うと・・・

・・・

5時45分 那須湯本行き ← 始発です

6時30分 那須湯本行き

6時50分 那須湯本行き

8時15分 那須湯本行き

9時20分 那須湯本行き

10時10分 那須湯本行き

11時10分 那須湯本行き

11時35分 大丸温泉行き ← 大丸温泉行に乗りたい!

・・・

えー!11時35分!? こ、これはタクシー決定だ。まさか大丸温泉行の最初のバスが11時35分だなんて想像もしなかった。しかも本命の那須ロープウェイ行きのバスは4月から開始とは。色々な意味でダメージを食らった気分。那須湯本下車だと那須ロープウェイ山麓駅まで約1時間30分坂道を歩くことになります。

 8時40分 那須ロープウェイ山麓駅

タクシーを利用して那須ロープウェイ山麓駅まで上がってきました。料金は7,800円。タクシーの乗車時間の半分以上、運転手と「ロープウェイが運行(3月20日より運行) したのにバスがそこまで動かないなんて変な話しですよね」と言う話しで盛り上がった。そんなこんなで目的地に到着しましたが、ロープウェイは「除雪作業のため運転を休止する」と言うお知らせが・・・

 8時55分 悪天候ですが出発します

強風に加え昨日の降雪によって室外機が埋もれたようでロープウェイが営業休止。これはもう自身の足で茶臼岳に向かわないといけない・・・とは言うものの最初からそうなるだろうなと予想をしていました。雪の硬さを調べるとアイゼン装着が望ましい状況。ワカンやスノーシューは雪が硬くて歩きづらい状態です。天気予報では快晴と聞いていたんですが、雲行きも怪しく雪も降り、風も嫌な強さになっています(-_-;)

 途中で起きたアクシデント①

何名かの登山者が列をなしていましたが、トレースが昨日の降雪で消されて分かりづらくなってしまい、10名ほど足止めを食らっておりました。私は地図とコンパスを併用して次に進む道を探しますが、冬季はこのような事が起きやすいのでルートファインティング?と言うのでしょうか、良き勉強となりましたね。

 徐々に風が強くなってきました

先週の八ヶ岳と同様に強風が吹き荒れています。同じ強風の世界でも前回と違うのは視界がきかないことでしょう。分厚い雲で遠くの景色は完全に遮られています。これは頂上に行っても眺望は無理だろうな。

 9時50分 峠の峰の茶屋(避難小屋) に到着

強風が吹き荒れる場所に建つ"峰の茶屋"に到着です。7年前もここで強風に煽られましたが今日も相当な風が吹き荒れており、正直先に進めるかどうか判断に悩みました。なにせ体が煽られるんです。先週行った八ヶ岳ではそんなことはありませんでしたがここは別世界のようです。思うに風速30m/s前後は出ているんじゃないかと。ピッケルを地面に刺さないと体がもっていかれそうです。

 風の威力が半端ない状況に

この強風の世界を"危険"と判断し多くの登山者が登山口に引き返していきます。茶臼岳で最も風が強いと言われる茶屋前で風速30m/s前後の風が暴れまくっていますから当然と言えば当然です。吹き飛ばされないに態勢を保つ必要がありますね。私はアイゼンとピッケルを携え孤独に山頂へと向かいます。

 途中で起きたアクシデント②

風に加えて雪が吹く世界がこれほど大変とは・・・途中で視界が真っ白になってしまい自分がどこを歩いているのか分からなくなってしまいました。進むべき道が見えないんです。コンパスが指し示す南の針を確認しながら前へと進みますが、それ以上に孤独感が半端なかったです。そんな中でも地図とコンパスを使うことがこれほどの安心感をもたらしてくれるとは正直驚くばかりです。

 風と雲によるホワイトアウトの直前

風の勢いは衰えることなく、そして分厚い雲と雪が混じり合い凄まじい世界に!雲の影響を受けたホワイトアウトの一歩手前って感じでしょうか?トレースがあるのかないのか・・・それよりも道があるのかないのか分かりません。何度も立ち止まっては道を確認します。周辺は風を遮るものがないためにモロに風を受けてしまう状況下です。台風並みの風・・・正直八ヶ岳に登った時よりも強いかもしれない・・・

 10時40分 悪条件の中、山頂に到着

それでもなんとか山頂に到着しました。山頂の気温は氷点下10度で、ある意味最悪の状況かも。


ゴーグルを外し、目を見開いたその瞬間に氷の粒が目に入りこんで激痛に襲われました。これは本当に油断した・・・超痛い!天候は変わらずの状態で数m先の状況ですら全く分かりません。雪は止みましたが気温は氷点下10度と低い状況、風の影響も重なり体感はもっと下がっているでしょうね。雲が晴れないか・・・意味なく周辺の写真を撮って時間を潰していましたが、その効果が出てきたようで・・・

 突然視界が晴れた!

雲が突然切れたじゃないか!雲に隠れていた景色がお披露目です!


突然の景色登場に山頂で満喫したい気持ちがいっぱいですが、とにかく風が強いので早めに下へと降りていきます。この辺りは急斜面に加え雪と氷のミックスなのでアイゼン無しではかなり危険。とにかく風を回避できる場所、ロープウェイ山頂駅まで足を進めます。バラクラバ(出目帽子) がないと耳に激痛を覚えます。

 牛ヶ首方面へと足を動かします

ロープウェイ山頂駅に向かおうと思いましたがロープウェイが動いていないことを遠目から確認。強風で止まったんだと判断。これはマズイね・・・このまま向かっても待ちぼうけを食らってしまうわけだし、ここで引き返すことも考えましたが単純に引き返すのももったいない・・・と思ったので、牛ヶ首に行って無限地獄を見にちょっと迂回路を歩きます。

 11時40分 牛ヶ首に到着 ここから無限地獄へ

牛ヶ首に到着した途端に風上に入ったようで凄まじい暴風が襲ってきます。おいおい、山頂よりも強いじゃないか!無間地獄の道を進むと峰の茶屋に合流できるので引き返すのには好都合です。

 絶えず湧き出る自然の息吹

無限地獄通過中。風の勢いも相まって煙(硫黄) と雲の流れがとにかく早いてスゴイ。この煙の噴出量、絶えず止むことのない自然の営みに本日もまたまた感動してしまいました。本来この辺りで立ち止まることは厳禁とされていますが、風の影響で今日みたいに煙がこっちに来ない場合は何分でもいられます。

 途中で起きたアクシデント③


かなり動揺してしまって、ルート上に現れた雪の壁の写真を完全に撮り忘れてしまった!地形上の関係で雪が溜まりやすい場所のようです。迂回が出来ないのでよじ登るコトになりますが、この雪の壁は高さ5mほど。しかも垂直。アイゼンとピッケルを使い登攀開始です。安全対策ナシ!この間も横から風が吹いてきて煽られる始末。登っている時よりも壁の上に立つ瞬間、体を頂上に持ち上げる時が一番怖かったです。 

 12時15分 清々しい青空が広がった

お?また晴れた。分厚い雲が本格的に消え始め、ようやく晴天の兆しが出てきました。峰の茶屋を通り過ぎ那須ロープウェイ山麓駅へ向かいますが、この下山時でも真後ろから風が襲ってくるため油断すると前かがみに転んでしまう状況。とくに歩く最中、足を上げている瞬間に風にやられると簡単に煽られて転んでしまいます。ピッケルを地面に刺し耐風姿勢をしながら強風エリアを抜けていきます。それと風と一緒に氷の粒も真後ろから襲ってきますので首元もガードします。

 もうすぐ下山となります

だいぶ下に降りてきましたね。除雪車が見え始めた頃、風も穏やかになって平穏な世界が広がりました。途中で真っ白な犬と遭遇。座っているんで躾がしっかりされているんだろうな~と頭に手を乗せようとしたら「ワン!」と吠えられました。近くにいた飼い主が犬に「コラ!」と怒っていましたが、いやいや私も悪かったんです。でもなんだかんだで頭を撫でちゃいました。白い雪に白い犬、光が反射して実に見えにくい。

 12時50分 再び那須ロープウェイ山麓駅に

那須ロープウェイ山麓駅に戻ってきました。下山中、何便かロープウェイが動いていたようですが、到着時にはアナウンスで「強風のためしばらく運転を休止します」と運行中止の放送が流れていました。観光客の方数名がロープウェイに乗ろうと待っていたようですが、「残念・・・」と少々ショック顔。でも「風で体が煽られる」「立っていられない」と登山道の状況を話すと事態を理解頂けたようで、「え!? それなら乗らなくて正解だ」とホッと一安心の心境に変化。

 13時00分 大丸温泉まで行きましょう

下山となりましたが駅に向かう公共機関が実はこの時期ないんです。3月までは那須ロープウェイ山麓駅から駅に向かうバスは動いていないので大丸温泉まで下る必要があります。そのため車道歩きとなるワケなんですが車通りが激しい激しい。路面状況はノーマルタイヤでも問題ないくらい除雪が完璧ですね。

 車道をどんどん下っていきます


クネクネした車道を真ん中からブチ抜くようにショートカットコースがあります・・・が、雪道の急斜面が現れて通るのに困ることもあり、これは素直に車道を歩いたほうが賢明です。約15分程で大丸温泉に到着となります。ここから駅に向かうバスが動くワケですが、問題は何時何分の出発となるか?

 13時10分 大丸温泉でバス待ち&腹ごしらえ

黒磯駅行きのバスが12時33分で、黒磯駅経由の那須塩原駅行きのバスが15時08分。今が13時10分だから・・・あと2時間後じゃないか!しかも1日2本!? 事前確認を怠るとこんな事が当たり前のように起こるので皆様もご注意下さい。お腹が空いたのでりんどう茶屋で腹ごしらえ。店主に伺い那須湯本まで下るのが良いとアドバイスを頂きました。バスの便が増えるようです。那須湯本まではここから約1時間の距離です。

 心温まるちょっとした出来ごと

「茶臼岳登ってきたの?」「風強かったでしょう?」「私たちはロープウェイが使えないので引き返しました」・・・同じ食卓に年配の御夫婦方がお座りになりました。聞くと観光で茶臼岳に来たようで、このあいにくの強風でロープウェイが動かないため止む無く引き返したようです。話しがとてもはずみ、「那須湯本まで送っていこうか?」と誘われましたが散歩を楽しみたかったこともあって断りました・・・が、それでも温情溢れるご厚意は本当に嬉しかったです。本当に有難う御座います。

 14時20分 那須湯本まで歩きます

腹ごしらえも済みましたので那須湯本まで歩きましょう!歩いて約20分後、那須連峰が一望できる展望台に到着です。バスとかタクシーに乗っていたら完全に通過でしたね。歩いたからこそ立ち寄れる休憩所です。

 正直言うと少し疲れました(汗)

大丸温泉から那須湯本までは車道以外に特別なコースはありませんので、とにかく車に気を付けながら歩きます。ふぅ~ちょっと疲れたな。

 14時50分 殺生石(せっしょうせき)


約1時間後に観光名所の1つ、殺生石に到着。ここから那須湯本までは5分の距離。せっかく来たことだし寄り道してみましょうか。この辺りは硫黄の臭い(硫化水素と亜硫酸ガス) が立ち込めており、その硫黄の噴出量が規定を超えてしまうと立ち入り禁止措置がとられます。「鳥獣がこれに近づけばその命を奪う、殺生の石」と言う言い伝えが名称の由来として語られていますが、実際は不明のまま(参考:Wikipedia)

 15時00分 ようやく那須湯本に到着です

りんどう茶屋から1時間程で那須湯本の温泉街に到着。いや~結構歩きましたね。バス停はすぐに見つかる場所にありますが、不思議なことに左車線沿いではなく右車線沿いに停留所が設置。なんで?那須湯本のバス停でさっそく時刻の確認。確かにバスの本数が増えたな。

・・・

14時10分 黒磯駅経由 那須塩原行き

14時45分 黒磯駅行き
15時25分 黒磯駅経由 那須塩原行き

16時25分 黒磯駅経由 那須塩原行き

17時05分 黒磯駅行き

17時25分 黒磯駅行き (土・日祭日 3月25日から3月31日は休止)

17時55分 黒磯駅行き

・・・

大丸温泉はたったの2便でしたが、那須湯本はトータル17便です。全てが黒磯駅に向かい、その何便かはさらに那須塩原駅行き。この変化はスゴイ。15時25分発のバスに乗って那須塩原駅へ向かいましょう。

 15時20分 那須塩原駅行きのバスが到着しました

定刻5分前にバスが到着。黒磯駅にしようか那須塩原駅にしようか迷いましたが、新幹線の接続が簡単な那須塩原駅まで向かいましょうか。那須塩原駅到着には約1時間後で、料金は小銭枚数の多い990円。上記に記載した時刻表と料金は4月に改定されるので、これまでの情報は3月までしか通用しません。ご認識願います。それにしても990円・・・小銭を集めるのが大変でした。これなら千円を両替して10円もらって残りを支払い箱に入れた方が良かったかな?

 16時30分 那須塩原駅にようやく到着です

渋滞の影響で5分遅れの4時30分に那須塩原駅へ到着となりましたが、たった5分の遅れに運転手から「遅れてしまって申し訳ない」と言われてしまった!「いえいえ、そんなこと気にしませんよ」。なんと言うプロ意識!さてさて、那須塩原駅から17時05分発の新幹線が出ているのでそれに乗って帰宅しましょう。行きと違って指定席券完売に続きグリーン券も完売!これはもう自由席券を購入してデッキに居座りましょう!

風が吹き荒れる中での登頂となりましたが、今回は色々と勉強になることが多い登山でした。地図とコンパスの必要性の再確認、ピッケルを使っての耐風姿勢、アイゼン&ピッケル使用での雪壁の登攀(初心者級) 、そしてホワイトアウトの中での孤独感・・・。茶臼岳に登られる場合はそれ以外にも東野交通に時刻の問い合わせするのも重要。HPに「直接問い合わせて」と書いてあるほどです。なんのためのHPなんだか・・・

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コメント: 4
  • #1

    中尾さん (月曜日, 24 3月 2014 21:32)

    白い犬可愛いですね!
    ずっとモフモフしてたい!

    吹雪の中のピースに輝きを感じました!

  • #2

    gogo-mountain (月曜日, 24 3月 2014 23:51)

    中尾さん(中尾さんさん?)、こんばんは。
    YukiHideです。

    毛並が良かったんで、
    モフモフしたらきっと気持ち良かったですよ~

    山頂は悪条件(風に雪に雲) が重なっていたので
    本当はorz・・・みたいな写真を
    ふざけて撮ろうかと思っていましたが、
    そんな余裕もなく単調な写真に・・・

  • #3

    ちゅーた (火曜日, 25 3月 2014 19:58)

    こんばんは(*^^*)
    Yukihideさんのレポはいつも過酷ですね!笑
    それをものともしないYukihideさんすごすぎます!!
    わたしにはまだまだこんな冬山は無理だなぁ…
    でもそのうち行ってみたいです♪

    山での出会いはいつもあたたかくて、幸せな気分になりますよね。
    それも山の楽しみのひとつですね〜♡

    白いモフモフ写真素晴らしいですね!笑
    めちゃくちゃまっしろ!!
    かわいい〜♡♡♡

    次の山レポも楽しみにしてます(*^^*)!

  • #4

    gogo-mountain (火曜日, 25 3月 2014 23:46)

    ちゅーたさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます!YukiHideです。

    なんでだか、気付くと悪天候なんですよね~(苦笑)
    次は晴天の中での登山が出来ると嬉しいんですが・・・
    天候は最悪でしたが晴天の雪山登山は楽しいですよ(^o^)

    初めての方と自然に「こんにちは」って言えるのは
    登山の醍醐味であり楽しみのひとつですよね~
    御夫婦の方の温情は今でも忘れられません。

    白いモフモフを撫でたらフカフカでしたね(笑)
    見事に真っ白でしたから遠目から見た時に
    「えぇ!?白い塊が動いた!?」ってバカ正直に驚いてしまいました。